2016.10.17
銀座マルディ・グラシェフ、和知 徹さんによる、肉料理でめぐる世界旅行記
【今までの旅行記はこちら】
和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(1) 和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(2)
和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(3) 和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(4)
どこかの国に行って、
あの店の看板料理を食べるとか、
折角行くのだからアレもコレもと食べまくる。
いつしか、その繰り返しに疲れ、
かと言って行きたくない訳ではなく、
旅先での過ごし方について、よく考えるようになった。
その年は、春先にお客様とヨーロッパへ行き、
夏はオレゴンのワインイベントに招待されていた。
アメリカは何度か訪れていたが、北のエリアは未訪問。
イメージが湧かなかったが、調べてみると…
自然の産物が豊かな土地で、美味いワインの産地でもある。
だから、向こうで材料を調達して、
料理をしたら楽しいだろうなぁと確信した。
その日が近づくにつれて、気持ちが高まっていった。
オレゴンに着くや否や、
とあるワイナリーの料理好きのマネージャーと、メニューのミーティング。
メインディッシュはすぐに、7kgの骨付きプライムビーフのローストに決まった。
フルーツが豊富で美味しいから、それを前菜にしたり、
付け合わせは得意のフライドポテトをこしらえて、
会場になったワイナリーの女性陣に手伝って貰いながら、
30名ほどのゲストに振る舞った。
初めて訪れる土地で、近くで採れる野菜を集め、
そこで育つ肉を選び、
その土地の人に食べて貰う楽しさよ。
お金を出しても経験出来ない楽しさと、忘れられない時間。
改めて、自分にとっての旅の醍醐味はこれだ! と痛感したのだった。
暮らす様に旅をして、料理をこしらえて食べる。
そうすることで、その国を咀嚼し理解する。
さらに日本で、それを自分の料理に仕立てることで、
ようやく旅が一段落付き、
彼の地で出会った人との思い出が、鮮やかに蘇るのだ。
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