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2016.10.31

食と科学のおいしい関係(11)

家で焼き肉が食べたい! スモークレス焼肉グリル『やきまる』の実力やいかに? 煙が出ないホットプレート『ザイグル』との比較に全員驚愕!

 

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さよなら先輩。

 

ここまでの差があるとは思いませんでした。私がザイグルを購入して1年、それはそれはホメまくり、私があまりにホメるので、周りでも2人、購入したぐらいです。

 

ザイグルは煙が出ません。肉を焼く時、煙が出るのは肉から出た余分な脂が、熱源で不完全燃焼を起こし、水蒸気とともに空中に排出されるためです。だから熱源が超高温もしくは低温であれば煙は出ませんが、代わりに肉は焦げるか半生になってしまいます。下から火で肉を炙る限り、脂は鉄板に残って加熱されるか熱源に垂れて、煙が発生します。そこでザイグルは発想を転換しました。熱源を鉄板の上に配置したのです。上方から鉄板を炙れば、肉の脂が熱源に触れることがないため、脂は高温にならずに煙は出ません。

 

一方、『やきまる』は煙が発生する温度に着目しました。250度を超えると脂から煙が発生します。だから鉄板の温度が250度を超えないように調整し、また鉄板に脂が残らないように鉄板に切り込みを入れました。鉄板の脂が残らずに鉄板下の受け皿に落ちれば、煙が出ません。

 

おいしく焼けるのはどちらか?

家庭用焼肉マシンとして、煙が出ず、おいしく焼けるのはどちらか? 今回実験のために用意したのは仙台牛。認知度が低いため、価格は安いが味は抜群。等級A5のみが名乗れるという仙台牛は、見事にサシが入った霜降りだが、赤身の強さも残っている、いいところどりの非常においしい肉です。今回この高級和牛で両者の対決をしようと思います。

いい肉だからこそ失敗したくない。そんな思いを2つの家庭用調理マシンに託します。

 

まずはステーキ肉の切り身。ジャッジメントとして、『大人の肉ドリル』(マガジンハウス)の著書を持つ、肉焼き番長の松浦達也氏と肉のことだけを24時間考えている肉メディア.comのめぐ編集長に参加してもらいました。

 

両者、ジュージューといい具合に焼けていますね。

 

松浦「煙が出ない先輩として、ザイグル先輩はさすがですね。脂が出ても煙は出ませんね」

 

やきまるくんはどうでしょう?

 

松浦「意外と焼き目がちゃんとつくなあ。家でこれだけ焼けるなら十分かも」

 

編集長「他のコンロに比べると格段に出ないですよ」

 

松浦「これで煙が出るというと、かわいそうですよね」

 

温度を上げない設計から、焦げ目がつかないのでは? という恐れはありましたが、やきまる、楽々にクリア。煙もゼロとはいかないが、換気扇を回せば十分排気できる範囲です。

 

松浦「やきまるくんも家庭で使う上では問題ないでしょう。ただし煙が出ない選手権的には、ザイグル先輩の勝ちですね」

 

なるほど。では焼き上がりを比較してみましょう。見た目から違いますね。

 

松浦「イワタニ先生、鉄板のスリットの入り方がさすがですね、脂がキレイに落ちてる。ザイグルは脂が落ちていかないから、揚げる感じになっている」

 

おいしそうな見た目は、やきまるの圧勝です。面に焦げ目が付き、カリッとおいしそうです。ザイグルの肉は焼けてはいるものの、全体が均一に灰色で焦げ目がない。

 

では実食……これは味がまるで違う。

 

松浦「ザイグルは脂の残りがついちゃってる。やきまるくんの方が焼いてる時間は長いのに、脂っぽくない」

 

編集長「やきまるの方が脂が落ちている……やっぱり脂が残っていますよ、ザイグルは」

 

続いて切り落とし。薄い肉は煙が出やすい。

 

編集長「さすがに薄切りだとすぐ火が入っちゃいますね……出ますね、煙が出ますよ」

 

焼肉用の肉ぐらいの厚さはないと、さすがに無煙というわけにはいかないらしい。それはザイグルも同じ。さすがのザイグルでも、これは煙が出てしまう。器具の云々ではなく、そんな薄い肉を焼く方が悪い。

 

味は? 全然違う。食べ比べると、ザイグルで焼いた肉は焼肉ではない。ゆでた肉と焼肉の中間というか、肉のおいしさがまるで引き出されていない。松浦氏も眉をひそめます。

 

松浦「古き良きホットプレート焼肉に近いですね」

 

 

脂を落とすことは、さっぱりと食べられる以上に、キレイな焼き目と焼いた肉のテクスチャーを出すために必須です。脂がプレートからあまり落ちないザイグルでは、肉は焼けるというより脂で煮られてしまい、おいしさは半減。

 

ハンバーグでは明確な差が出ました。フライパン以上にキレイな焦げ目が付き、切り口から肉汁が溢れ出すやきまるに対して、ザイグルで焼いたハンバーグは、まるでレトルトです。お湯でゆでたようなぬるい食感に抜け出てしまった肉汁、焼き目のないのべーっとしたテクスチャー。

 

勝負ありも何も! 肉を焼くなら、やきまるの圧勝です。

 

編集長「これはかなり満足度高い家庭用調理器具ですね。フライパンで焼くより全然おいしい。火加減を調整すれば塊肉がおいしく焼けるかも」

 

編集長お墨付き。

カセットコンロなので外でも使える便利さもポイントが高い。私も買います。いい肉を買って、やきまるで焼けば、お店の半額以下ですからね。幸せは家庭にありです。

・製品情報
カセットガス・スモークレス焼肉グリル『やきまる』
品番:CB-SLG-1
製品寸法・重量:幅303×奥行278×高149㎜・約2.0㎏
最大発熱量:1.0KW (900kcal/h相当)
最大火力連続燃焼時間:約3時間37分(イワタニカセットガス1本使用時)
メーカー希望小売価格:オープン(実勢価格7~9000円)
http://www.iwatani.co.jp/jpn/newsrelease/detail.php?idx=1276

川口 友万

川口 友万

福岡県福岡市出身。富山大学理学部物学科卒。サイエンスライター。
科学専門サイト『サイエンスニュース』http://sciencenews.co.jp/の編集統括。著書多数。
毎週日曜日、武蔵小山にて科学実験を体験できるバー『科学実験酒場』を開催、週替わりで食に関する実験を行っている。

■科学実験酒場

https://www.facebook.com/groups/kagakubar/