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2017.02.01

イエニクのススメ 手羽先のから揚げ 第1回

イエニクの生姜焼き編!「大人の肉ドリル」でおなじみ、松浦氏がお家でおいしいお肉料理を満喫できる肉レシピを公開!

今回のお題は「手羽先のからあげ」

前回の生姜焼きなどをはじめ、今までのイエニクシリーズをご覧になりたいかたはコチラ。→イエニクアーカイブ

イエニクのススメ 手羽先のから揚げ 第1回

お店のような手羽先のから揚げはつくれるのか

新年早々、肉メディア.com編集部から難しいお題がやってきた。曰く……。

 

「手羽先のから揚げを作ってください!」

 

えっ。これまで書いてきたシリーズは

「塊肉」 

「から揚げ」 

「ハンバーグ」 

「生姜焼き」

 

などなど。つまり拙著『大人の肉ドリル』執筆時にいくつものパターンで試作を繰り返し、その引き出しを全部ひっくり返し、加筆して肉メディア.com用に再構成したものだった。

 

しかし肉ドリルでは「手羽先」自体扱っていない。骨付き肉と言えば鶏もも肉のローストと、ラムチョップくらい。手羽先はそのいずれともサイズが違う。おいしく調理するためのハードルはなかなかに高い。というのも、手羽先には以下のようなパラメーターがあるからだ。

 

個体が小さくサイズがまちまち
まず「個体が小さい上に、サイズがまちまち」といういきなりの難関だ。レシピに落とし込むには加熱の目安となる温度や分数が必要になる。だが個体が小さいほど最適な数字は変わりやすい。しかも手羽先は個体サイズが倍ほども違うものがあるうえに、もも肉やむね肉のように切り分けて、同じサイズにすることができない。違うサイズの個体に対して、共通のレシピでそれぞれおいしくする手法が求められる。

 

皮に覆われている
鶏肉をしっかり加熱すると、全体重量の2割ほどの水分が失われる。加熱によって筋繊維が収縮し、もともとあった水分が絞り出されるからだ。そうなるとジューシー感は失われ、肉はかたく感じられる。その回避策として鶏のから揚げには加水が行われることがある。だが手羽先においては、その形状が課題になる。加水時に、水を含んでくれるのは身肉の部分だ。ところがほぼ全面が皮に覆われている手羽先は肉に水分が入りにくい。考え方としては2択。「肉に水分を含ませる方法」を考えるか「加水せずにおいしくなる方法を追求するか」。

 

骨がある
そして最大の難関はここだ。手羽先には、骨がある。骨つき肉はおいしいが、骨の火の入り方は身のそれとは違うし、骨があるとまわりの肉の火の入り方も変わる。骨まわりは火入れが浅いと骨離れが悪くなるし、深すぎれば火が通り過ぎる。しかも手羽先一本あたりに、太さの異なる、約10ほどの骨が入っている。いや本当、これどうするの……。対策としての大枠は「火の通りがよくなるよう、カットする」「加熱方法を工夫する」あたり。カットには「骨抜き」も含まれるが、抜くとしたら何本、どの骨を抜くのが最適なのかという課題も設定されている。

 

目指す仕上がりはあくまで「おいしい肉の手羽先から揚げ」。

本場の名古屋でも小ぶりな手羽先×長時間揚げの「風来坊」、胡椒がピリリと効いた「世界の山ちゃん」、名古屋コーチンをジューシーに仕上げた「鳥開」など、さまざまな手羽先のから揚げがある。揚げは2度揚げが主流だが、温度や揚げ時間も違うし、味つけもそれぞれの店に“秘伝”がある。

では、目指すべき食感や味つけの方向性は? 下処理はどうするか。調味料はドライにするかウェットで行くか。いずれにしても皮はパリッとさせたい、何より肉の味わいは重視したいところだ。

まず次回は下処理に続く。

 

松浦 達也

松浦 達也

東京都武蔵野市生まれ。編集者・ライター。さまざまな「食」を「食べる」「つくる」「ひもとく」フードアクティビスト。調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、『dancyu』などの料理誌から一般誌、新聞、書籍、Webまで幅広く執筆、編集を行う。テレビ、ラジオなどでは食のトレンドやニュース解説も。近著の『家で肉食を極める! 肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』(マガジンハウス)ほか、自らも参加する調理ユニット「給食系男子」名義で企画・構成を手がけた『家メシ道場』『家呑み道場』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はシリーズ10万部を突破。最新刊、『新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える!』(マガジンハウス)が好評発売中!

ブログ「うまいものばか!」

http://umaimonoholic.blogspot.jp/