• TOP
  • Column
  • あの人のけしからんレストラン「吉田風中国家庭料理 jeeten」

2017.03.02

あの人のけしからんレストラン「吉田風中国家庭料理 jeeten」

教えたいけれど教えたくない、でも仲のよい人には教えたい!
そんな名店を食通がリレー方式で紹介していきます。

あの人のけしからんレストラン「吉田風中国家庭料理 jeeten」

紹介してくれた人 川崎 阿久里さん(編集者)

がっつり系の肉料理は、食べるパワーや集中力も要る気がするが、1999年開店以来いつも変わらぬここ「jeeten」の料理は、心も体も癒される、ほっとする旨さ。じんわり幸せな思いに満たされる。最近、食関係で仕事をともにする編集さんとトラブルシューティング後にお誘いしたところ、「凄く久しぶり、やっぱりおいしい!」と元気回復、早速お仲間と再び出かけた由。「誰よりも早くどこにも紹介していない記事を載せる」そういう価値観が職業柄身に染み付いていると、こういう真っ当なお店はすっぽり抜け落ちちゃうのかな。そんなことを考えながら、カウンターに陣取り吉田勝彦さんの調理の手元を追っていると、一見衒いのないように見えて計算されたシャープな動線、そして細かなこだわりが見て取れる。NHK『きょうの料理』などでも活躍のオーナーシェフの名前「吉田」を中国語読みした「ジーテン」は、代々木上原にあり、17席という小さな店内は毎日文字通り千客万来だ。

 

そんな「jeeten」でのわがステディ肉料理は「黒酢の酢豚」。見た目がプティ・シューにショコラがけの「プロフィットロール」そっくりの、女子力高いビジュアル。このシュー、いや肉団子は、表面がかりっと揚がっているのに、中はとろ〜りジューシー。普通、酢豚といえば使う肉はブロック肉なのだが、こちらでは豚バラ肉とロース肉、二種のスライスを合わせ、醤油、酒、黒コショウの下味を揉み混んでから、さくっと揚げている。衣は小麦粉に卵、ベーキングパウダー。隠し味はカレー粉。「一口食べたら、中はふわふわ。その食感をイメージして、試行錯誤。今や定番になりました」と吉田シェフ。てりっと艶やかなたれは、中国黒酢にシェフお気に入りの江戸前黒酢をプラスするなど、キレのある後味が“たまらない、とまらない”なのだ。

 

さて、この店のグランドメニューには各料理のゆるやかな効能が記されている。ちなみにいつもの私流オーダーはといえば、目の前で手切りにして丁寧に仕上げられる「蒸し豚」(効能:肌に潤い)、クリスピーな四川料理の「薫製鴨の揚げもの」(胃を強くする)、そしてこの「黒酢の酢豚」(効能:疲労回復)は欠かすことのないマストな三品。そして“気鬱を晴らす”真っ赤な麻婆豆腐と白ご飯で締めるという軽やかなお肉偏重コース。隣のお客様と肩が触れあう狭さだけれどコージーなカウンター席、予約するなら、お早めに。シェフズテーブルともいうべきカウンター角とひと言付け加えて、どうぞ。

吉田風中国家庭料理 jeeten

〒151-0066

東京都渋谷区西原3丁目2-3

営業時間:17時00分~22時30分

休:火曜日

  • 03-3469-9333

川崎 阿久里さん

川崎 阿久里さん

エディター。

雑誌『家庭画報』編集長を経て、現在、ムックや書籍のプロデュースに携わる。雑誌時代から培った料理人脈と根っからの食いしん坊が高じて、「ル・マンジュトゥー」谷 昇シェフ、また「マルディ グラ」和知 徹シェフのレシピブックなど、著名シェフの料理書籍を多数企画編集している。最新刊はジャン=ポール・エヴァン、アンリ・ルルー、フレデリック・カッセルの3氏とフランス菓子研究家大森由紀子氏による『フレンチ仕込みの「ショコラのお菓子」』(世界文化社)。