• TOP
  • Column
  • あの人のけしからんレストラン「れんらく船」

2017.03.29

あの人のけしからんレストラン「れんらく船」

教えたいけれど教えたくない、でも仲のよい人には教えたい!
そんな名店を食通がリレー方式で紹介していきます。

今までの食通たちの“けしからん”レストランはこちらから。

 

あの人のけしからんレストラン「れんらく船」

紹介してくれた人 関谷 江里さん

本日ご紹介するのは、「れんらく船」という名前の、近江牛専門のレストランです。ただもう肉づくし、最初から最後まで肉しか出てきません。(お願いすれば前菜にスモークサーモンを出してもらうこともできますが)
函館にルーツを持つ店主の岩田昌丈さんが1970年3月に京都・三条大橋畔のビルの地下にオープン。甘味好きな方には「京はやしや」さんの入っているビルといったらすぐにおわかりになるかと思います。「乗船口」と記された入り口から入ると、本当に船内のようなインテリア。レトロゴージャスというのか、豪華客船内のレストランのような趣です。丸い窓の形をした照明からはブルーの光が差して、ランタンのようなランプはゆらゆら揺れています。これは実際には空調の風で揺れているのですが、もはや波間を漂う船の揺れとしか思えません。

 

さて、メニューを開いてみれば「サーロインのたたき 240g 12,000円」こんな感じですので、初めていらした方はおまかせのコースをお願いすればいいかと思います。
だいたいの好みやお腹の空き具合を聞いてくださって、1万数千円~でコースを組んでもらえます。
標準的なコースは、サーロインやテンダーロインを使った、山かけ、たたき、網焼きなどが続き、合間に大根おろしやサラダが供されます。そしてから揚げ、炙り肉のお寿司。
どれも最高級の近江牛を使っているだけあって、まず肉の色が鮮やかできれい。きめが細やか。たたきも、網焼きも、いい香りで柔らかで、噛む前に溶けるというか、旨旨旨・・・と思っているうちになくなっている、というようなお皿の連続です。

 

その中で、とりわけインパクトを持って現われるのがから揚げ。

小さい俵型のおにぎりくらいの揚げものとして登場しますが、これが、外側の衣の香ばしいカリカリの中に、しっとり肉汁したたる柔らかな肉のかたまりが控えていて、塩気ほどよく、すーーーっと歯が入るのです。そしてほとばしる旨さに圧倒されて、「今のはなんだったのか? 天国にいるのかわたしは?」と思いながら、ひとつまたひとつと食べてしまう、他にない看板料理です。「お下地(醤油のこと)に浸けて、コーンスターチを付けて」とマダムの秀子さんは教えてくれますが、これは最高の肉と熟練の技があってこそできる、稀有な名物だと思います。

 

街なかにして、外国に出かけたくらいの非日常感が味わえるお店です。高級店ながら、サービスがびっくりするほどアットホームな感じなのもおもしろいことです。大抵ニットにスカート、上等な普段着という姿で接客する秀子さんは、気さくだけれど、驚くほど記憶力がよくて客の好みを細かく憶えています。この秀子さんに、ご主人の岩田さんとその息子さんが調理を担当し、家族でなごやかに「客船」の航行を続けているという感じのお店です。

れんらく船

〒604-8004

京都市中京区三条通木屋町東入ル南側 タカセビル地下1階

営業時間:17時00分~21時00分

休:不定休(土日祝は必ず営業)

※要予約

  • 075-241-4358

関谷 江里さん

関谷 江里さん

京都専門の食ライター。
秘密だけど大阪出身。大学から東京に行き25年間暮らし(うち2年間はパリ暮らし)、出版社や広報会社などに勤める。2003年フリーライターとして独立、京都をテーマに仕事をするようになり2006年末京都に移住。10年暮らして少し落ち着いたら今度はパリ通いが再開、隙あらばパリ行きを目論んでいる。美食巡りの会「クラブエリー」主宰。最新刊は「SOU・SOU 京菓子あそび 和菓子になったテキスタイルデザイン」(世界文化社)。

「関谷江里の京都暮らし 時々パリ」

https://www.erisekiya.com/