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2017.05.16

イエニクのススメ 手羽先のから揚げ 第4回

イエニクの手羽先のから揚げ編!「大人の肉ドリル」でおなじみ、松浦氏がお家でおいしいお肉料理を満喫できる肉レシピを公開!

今回のお題は「手羽先のからあげ」。第1回目はコチラ。第2回目はコチラ。第3回目はコチラ

ステーキからハンバーグまで、【家でもおいしい肉を食べよう】コンセプト、イエニクシリーズをご覧になりたいかたはコチラ。→イエニクアーカイブ

イエニクのススメ 手羽先のから揚げ 第4回

いよいよ味付けだ!

さて、お待たせしました!(例によって原稿も) いよいよ手羽先のから揚げ編の総仕上げであります。

 

目指す味つけのベースは「風来坊」の味わい。ただしあの味わいは特に東京の家庭には少し重たいと思われるので、少し軽めに調整したい。目標は以下のようなイメージだ。

 

・外側サクッ!
・ギシッとした骨つき肉の噛みごたえ&ジューシーさの両立
・量が食べられる程度のジャンク感ある味つけ

 

手羽先の両端を持ち、衣に歯を立てるとサクッと軽やかな揚げ上がり。深みあるほのかに甘い味わいのタレが染みた衣の向こうへと、歯を進めるとギシッとした歯ごたえがありながらもジューシーな味わいが口のなかにあふれる。骨まわりを食べた後、カリカリと歯で肉片をこそぐ。ああ、名古屋の人たちはいつもこんなものを食べていたのか。うらやましいぞ。名古屋人!

 

さらに噛みくだくと、手羽先のから揚げの特徴と狙いどころは以下のようなあたりとなる。

 

<手羽先の特性と対策>
・個体が小さいクセにサイズがまちまちなので、加熱は少し深め。
・皮に覆われていて下味が入りにくい。味つけは揚げた後。
・骨は抜かない。骨がある分、加熱の加減を変える。

 

<味つけ>
・鶏の味わいと食感を活かすため、下味をつけない名古屋式。
・ジャンク感のためにも一定の深いうま味と甘さは必要。
・ただし、量が食べられる程度の甘さに抑える。

 

<揚げ>
・皮はサクッとした揚がりに。中華で言う「脆」(cuì:ツイ)。
・骨つき肉ならではの肉の歯ごたえとジューシー感を強調。
・骨まわりのうまさを強化するような揚げ。

 

というような方向性を実現したい。本連載のなかで、唯一ゼロベースで何度も試作を繰り返し、パラメーターを調整しながら作り上げた、手羽先から揚げの決定版、以下に大公開。

レシピ大公開! 揚げのキーワードは「トリプルスリー」

軽さと深いうま味、名古屋式手羽先のから揚げの決定版。

 

■材料(3~4人分)
鶏手羽先 10本
片栗粉 大さじ4
白ごま 大さじ2
胡椒 小さじ1
ガーリックパウダー 適宜

植物油 適量(手羽先全体がしっかり揚げられるくらい)

 

<タレ>
にんにく(国産)  中~大房の半量(3~4かけ)
醤油、日本酒、みりん 各100ml
砂糖 大さじ1
昆布 10~15cm角のもの2枚

 

■作り方
1. タレをつくる。にんにくはスライスする。鍋に昆布とにんにくを入れ、日本酒とみりんを入れ弱火にかける。30分ほど火にかけ、アルコールが飛んだら、醤油、砂糖を入れて火を止める。

 

2. 鶏の手羽先はキッチンペーパーで水分をふき、全体にまんべんなく片栗粉を振る。深鍋(フタつきが望ましい)に植物油を入れ、中火にかけ190℃に熱する。

 

3. 熱した油で手羽先を3分揚げ、バットなどに引き上げて3分休ませる。さらにもう3分揚げ(2回めの揚げは、油ハネが激しいのでフタをする)、タレに全体を浸して引き上げる。黒胡椒と白ごまをかけ、好みでガーリックパウダーを振る。

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つけダレににんにくを多めに入れているので個人的には必要ないが、ジャンクで強い味が好きな方はガーリックパウダーを追ってもいい。揚げの法則は、サッカーのフォーメーションではないが3-3-3-1と覚えよう。3(最初の揚げ)-3(休ませ)-3(2度めの揚げ)-1(調味にかかる時間)。この加熱ならばただやわかいばかりの肉でなく、一定の弾力を肉に付与することができる。ガブッとかぶりつき、骨から肉を引きちぎるような野生的な快感とジューシーな肉汁のいいとこ取りができる加熱時間なのだ。

 

野球のスワローズファンの方ならタレをかける最後の部分を端折って山田哲人選手を思い起こしながら「トリプルスリー」と覚えてもいいし、サッカーオランダ代表を想起して3-4-3のフォーメーションでもいい。とにかく、休ませ時間をきっちり取ることと前後で3分ずつの揚げ時間を確保することが大切。あと2回めの揚げのタイミングでは表面近くまで水分が出てきていて強力にハネる。深鍋×フタで万全の対策を取っていただきたい。

 

ちなみにタレは昆布やにんにくを入れたまま冷蔵庫で保存する。濃さを調整しながら1週間に1度を目安に加熱して、各調味料を足しながらタレを育てていくのも楽しい。「一度作って終わり」ではなく、作り続けることで揚げの技術を鍛えるだけでなく、タレを育てるという楽しみもある。継続は力なり、である。

 

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※ご好評いただいていたイエニク連載は、今回が最終回となります。ご愛読誠にありがとうございました。

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松浦 達也

松浦 達也

東京都武蔵野市生まれ。編集者・ライター。さまざまな「食」を「食べる」「つくる」「ひもとく」フードアクティビスト。調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、『dancyu』などの料理誌から一般誌、新聞、書籍、Webまで幅広く執筆、編集を行う。テレビ、ラジオなどでは食のトレンドやニュース解説も。近著の『家で肉食を極める! 肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』(マガジンハウス)ほか、自らも参加する調理ユニット「給食系男子」名義で企画・構成を手がけた『家メシ道場』『家呑み道場』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はシリーズ10万部を突破。最新刊、『新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える!』(マガジンハウス)が好評発売中!

ブログ「うまいものばか!」

http://umaimonoholic.blogspot.jp/