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2017.07.06

【現代版】みんな飲食店とどう付き合ってるの?

いまだからこそ考えたい、飲食店との距離感。年代とともにお店との関わり方にも変化があることが、今回のアンケートの結果でわかりました。

 

【現代版】みんな飲食店とどう付き合ってるの?

例の食べログレビュアー騒動が起きる少し前、肉メディア.comさんから「飲食店との付き合い方についてアンケート調査をするので、その結果を受けてコラムを書いてくれないか」というお話をいただきました。実際、例の騒動を持ち出すまでもなく、店と客の関係をどう捉えるかはわりと繊細な話です。

「常連とは何か」「常連への特別扱い」問題に誰もが満足する答えを出すのは難しいでしょうし、そもそも店と客の適正な距離感もそれぞれ違うはず。昭和の頃には「マナー」「作法」「ルール」には「正解」があったようにも思えますが、いまやその形はひとつではないように思えます。

クラウドファンディングを活用しての出店や、貸し切り専門業態、斬新な予約システムなど店のあり方も多様になっています。いま、店と客はお互いに何を求めているのでしょうか。肉メディア.comの調査から、最新の事情をひもとき、店と客の幸せな関係について考えてみたいと思います。

「レストラン」の定義とは何か

まず肉メディアの調査での最初の質問。「レストランで食事をする際には予約をするほうだ」という質問には、全体の52.5%が「予約をする」と回答、残りの47.5%が「予約をしない」と回答しました。やや予約をする人が多くなっています。

 

人によって「レストラン」でイメージする業態には違いがあるはずです。ファミレスだってファミリー「レストラン」ですし、近所のビストロや洋食店だってそう。どんなタイプの「レストラン」かによって予約をする、しないは変わってくるでしょう。

 

たとえばファミレスなら子どもの誕生日パーティなどならともかく、普段使いするのに予約をするという話はあまり聞きません。ビストロや洋食店でも、お酒を飲みながら数時間楽しむ繁盛店なら予約が必要でしょうが、食事だけで済ませる定食系の洋食店なら予約をするのは一般的とは言えません。

「レストランだから予約をする・しない」のではなく、どんなレストランだから予約を入れるのか、店の立場、客の立場それぞれで予約が好ましいかは変わるはずです。たとえばこんな設問にも客や店、それぞれの立場が現れています。

 

[Q2]客の立場の方に伺います。顔なじみのレストランに予約を入れる際、自分だとわかるように予約を入れる
[Q3]飲食店に勤務の方に伺います。顔なじみのお客さんは、予約の際にはそれとわかるよう、名乗って欲しい。

 

編集部に確認したところ、この質問のポイントは「自分だとわかるように」「それとわかるように」という部分なのだとか。設問を考えたのは、なじみの店を持たない若い方で、予約時に「僕、(常連の)××ですけど」というニュアンスを盛り込むかどうかを聞きたかったようです。「予約時に常連だと伝えて、特別なサービスを受けようとしているのでは?」と訝っていたのかもしれません。

 

さて、この[Q2]の回答は見事に三分され、「する」35.0%、「しない」41.0%、「どちらとも言えない」22.4%となりました。

調査結果をつぶさに見ると、若者は「予約しない」が多く、年配になるほど「予約する」が増えていく傾向があります。予約は客の立場からすると「席の確保」が主な目的ですが、一方で店への気遣いという面もあります。

 

飲食店は「水商売」と言われるように不安定な商売です。しかし予約が入れば、売上の見積もりを立てることができる。予約は「通う」以外に客ができる数少ないサポートの形なのです。そうやって関係を構築し、“常連”になっていく。本来、常連とは店に何かを要求するような人々ではなく、「一見さんに席を譲る」ような店のファンを指すはずです。

 

常連にときどき、試作品などの特別な品が出されるのは「よく通い」「店に尽くす」からこそ。単に優遇されているというわけではなく、皿の上には何度も定番を食べてきた常連だからわかるような工夫も盛り込まれているはずです。

 

[Q3]の飲食店主への質問で「顔なじみのお客さんは、それとわかるように名乗ってほしい」の回答で「はい」が「いいえ」を上回ったのも「客に喜んでもらえるものを出したい」という店側の心意気だと考えられます。

 

僕は、客と店の関係を、「知り合い以上恋人未満」のような関係だと捉えています。店と客は一対一の関係ではないし、経営に責任も取れない。ならば越えないほうがいい一線はある。そう思ってしまうのです。しかしそれはあくまで僕のスタンスで、「お店は恋人のようなもの」と仰る方もいます。僕がカウンターの隅で、ただうまいうまいと飲み食いしている間に、どんどんお店と仲良くなる人もいるし、そういう人を羨ましく思ったりもします。つまり店と客という関係に唯一絶対の正解などないのです。

ちゃっかりな若者。やたらストイックなベテラン

[Q17] の「初めて行くお店はできれば常連に連れて行ってもらいたい」も回答がきれいに割れました。「はい」42.1%、「いいえ」37.2%「あてはまらない」の20.8%を除けば、ほぼ2分されていると言っていい結果でしょう。

 

[Q17]に「はい」と答えた人の回答からも面白いものが見えました。その理由は、「おすすめ(何をたべればいいか)がわかるから」「そのお店のルールがわかるから」など、“教えてほしい”系のコメントがありました。これは比較的若い年齢層から多く寄せられたもの。一方で「お店の人と仲良くなりたい」「サービスしてもらえそう」「特別扱いされるとうれしいから」というふうに「何かトクになること」に期待しているコメントを寄せた人は40代以上の人に多く見受けられました。

 

この結果を通じて、若年層は初訪の際は効率やコストパフォーマンスを重視する傾向が見えたように思います。またある程度の大人たちは、店との関係や常連メニューのある店なら、できるだけ早くそこにたどり着きたい。そんな気持ちが結果から推測できそうです。

 

一方、「いいえ」と回答した人は「先入観なしに店と付き合いたい」「特に過剰なサービスを期待していない」「常連バイアスなしで一見でもていねいに接してくれる店に行きたい」と自分と店の付き合い方に一定のスタイルを持っている人――ストイックなベテランが多いよう。メニューやサービスではなく、対人関係のように店との付き合い方を考えるような回答が多く見られました。

 

店と仲良くなるばかりがレストランの楽しみ方とは限りません。一定の距離感を保った付き合いや、ゆっくり何年もかけてお店との関係を構築するという楽しみだってあるはずです 。最後の設問に「いいえ」と回答した人のなかには「常連と同等のクオリティのサービスを簡単に得てもあまり記憶に残らないから」という求道者のようなコメントもありました。常連にも一見と変わらない品とサービスを提供する店もたくさん存在します。

 

店には店のスタイルがあり、客にも店を選ぶ自由があります。多様な業態が次々に生まれるいま、レストランにおけるルールやマナーもまた多様化しつつあるように見えます。ただしそれはどんな店で何をしてもいいということではありません。先人たちが共有してきたマナーやルールには一定の理由のもとに構築されてきました。次回は、レストランでの振る舞いについての調査結果をひもといてみたいと思います。

 

(文:松浦 達也)

記事内のアンケート結果の数字はすべて、肉メディア調べ