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2017.08.01

和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅 最終回

和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅 最終回

そしてまた陽は昇る

夜間飛行と列車を乗り継ぎ、

早朝のサマルカンドに辿り着いた。

途中、あまりにもお腹が空いて、

列車の中で羊のハンバーガーを食べてしまったんだけど。

市場に行きたいと逸る気持ちを抑えて、

宿のご家族と食べ物の話をひとしきり。

何故って?

ふくよかなお母さんが、

料理を出してくれる宿だったのです。

あわよくば、

市場で食材を手に入れて、

お礼にその家族にご馳走しようと企んでた。

 

街に飛び出すと、

太陽の光も、

流れる風も、

生活の匂いも、

歩く人々のスピードも違って見える。
そして市場の中に紛れ込んだ。

凄く懐かしい顔の様でいて、

でも目の色が違ってたり。

味見してみろと手招きするチーズの売り子のお母さん達は優しい。

スパイスを売る親父は、

矢継ぎ早に質問を浴びせてくる世話焼きで、

今晩泊まっている宿の家族に、

料理したいと相談すると、

羊はあそこ!

米はこれ!

人参はあの黄色いやつ!

レーズンはそこの!

と全て仕切られしまった。

 

両手いっぱいに、

荷物を抱えて宿に帰ると、

今度はお母さんが野菜はこう切りなさい!

肉はこのぐらいにして!

スパイスはこれとそれを使って!

とこれまた仕切られて、

指導されるままに料理をして、

食卓に出せたのが8:00を回ってから。

ようやく食べることが出来た。

初めて訪れた国で、

無謀にも日本人の料理を食べさせるなんて、

我ながら大胆だなとちょっとだけ反省。

 

皆んな夢中で平らげて、

喜ぶ顔を見て一安心。
歴史的な建造物も、

一度は行きたい名所も、

すっ飛ばす。

訪れる国の、

見知らぬ街の、

ごく普通の家族に交じり、

料理を一緒にこしらえてゲラゲラ笑う。

この楽しさを覚えたらやめられない!

 

僕の旅はこれからも続きますが、

一先ず今回で区切りをつけたいと思います。

これまでありがとうございました。

どこかの空を見上げながら、

料理をしてるはずです!

 

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連載期間中、世界9か国、肉とともに旅をしてきた「和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅」は、今回をもって連載を終了させていただきます。

連載は終了しますが、和知シェフのぬりえの旅はこれからも続きます。

これまでのご愛読、大変ありがとうございました。

シェフが各国から持ち帰ったエッセンスを、ぜひレストランで味わってみてください!

 

【今までの旅行記はこちら】

ぬりえの旅(1) ぬりえの旅 フランス篇1(2) ぬりえの旅 フランス篇2(3) ぬりえの旅 イタリア篇1(4)

ぬりえの旅 イタリア篇2(5) ぬりえの旅 ニューヨーク篇(6) ぬりえの旅 スペイン篇(7) ぬりえの旅 オレゴン篇(8)

ぬりえの旅 ポルトガル篇(9) ぬりえの旅アルゼンチン篇1(10) ぬりえの旅アルゼンチン篇2(11) ぬりえの旅メキシコ篇(12) ぬりえの旅チェコ篇(13)

マルディ・グラ

〒104-0061

東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビル B1F

営業時間:18時~24時(L.O.23時)

休:日

  • 03-5568-0222

和知 徹

和知 徹

骨太で豪快な料理が魅力、銀座のフレンチの名店【マルディ・グラ】シェフ。ブルゴーニュの一ツ星「ランパール」で半年間研修後、87年「レストランひらまつ」入社。ひらまつ在籍中の96年、パリ「ヴィヴァロワ」で3カ月研修し、帰国後ひらまつ系列の飯倉「アポリネール」料理長に就任。退職後、98年銀座「グレープガンボ」の料理長を3年務める。01年、独立。和知 徹といえば、肉料理とも言われるほど。著書に「銀座マルディ グラ流 ビストロ肉レシピ」(世界文化社)などがあり、“和知流”肉レシピのファンは多い。