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2015.11.12

【今月のキーワード】科学実験酒場

好奇心旺盛なグルメたちの間で、今後話題を呼びそうなのが、食に関するさまざまな実験を楽しみながらお酒が呑めるイベント「科学実験酒場」。これからのオトナは、食べながら科学する。

 

【今月のキーワード】科学実験酒場

実験を肴に、コミュニケーションを楽しむオトナの場

これは今年の11月から目黒区・武蔵小山のバーで週に一度開催されている定例イベントで、主催者は『大人の怪しい実験室』(データハウス)、『あぶない科学実験』(彩図社)などの著者として知られるサイエンスライターの川口友万氏。

具体的にどんな実験が行なわれているのか、過去2回の実験テーマをまずは紹介しておきましょう。

 

 

●第1回「電気肉実験」=肉に電気を流すと、熟成が短時間で進むといわれるが、電流を通した肉は本当に旨いのか?

●第2回「食べ合わせ実験」=プリンに醤油をかけるとウニと似た味になる、キュウリにハチミツを垂らすとメロンと似た味になると噂されているが、それは事実なのか?

 

 

肉メディア編集部としては前者の「電気肉実験」が気になるところですが、電流を通すと肉の味が変化するというのはまぎれもない事実のようです。鶏肉業者の中には、すでに出荷の際に、この原理を導入した通電機器「Eチキン製造システム」を使用しているところもあるのだとか。

「チキンは、骨付きのまま二日ほど熟成させたほうが美味しくなるのですが、日本では屠鳥当日の出荷が原則。それで“なんとか時間をかけずに肉を熟成させる方法はないものか?”と考えた末に生み出されたのが、肉に電気を通すという方法です。この方法を考案した麻布大学農獣医学部の坂田亮一教授の論文によれば、通電した肉は“柔らかさ”と“保水性”において明らかに肉質改善の効果が見られたそうです」(川口友万氏)

 

実際に1万3000ボルトの高圧電流を発生させる装置を使って通電を行ない、通電した肉と一般の肉をイベントで食べ比べてみたところ、確かに電気肉のほうがジューシーかつ旨味が強く感じられたとか。
※イベントで使用した高圧電流は、キルリアン写真という写真技術を応用したものです。

 

 

【実際の実験の様子】

 

 

「飲み屋で科学実験とは、なんともミスマッチな気もしますが、一見どれもくだらない実験のように思われるかもしれないものでも、そこから食に関するさまざまな『気づき』が生まれ、集まった人が互いに感想や意見を交わすことで、新しいコミュニケーションが生まれる。つまり「実験を肴に、ノミニケーションを楽しもう」というのが、このイベントのコンセプトなんですよ」と主催者の川口さんは言います。

 

科学実験酒場は、毎週日曜日(17〜23時)に東急目黒線武蔵小山駅近くの「フロム・ロンドン・カフェ」にて開催。実験テーマは毎回変わります。誰でも参加可能なので、興味を持った方は一度足を運んでみてはいかが?

 

(取材・文:中村 宏覚/肉メディア編集部)

 

※キルリアン写真とは?
交流電流の発見者のニコラ・テスラが見つけた生体コロナ放電※を、ロシア人電気技師のキルリ アン夫妻が印画紙に感光させる技法を発明、1939 年ごろに発表した。以降、 同技法で撮影され た写真はキルリアン写真と呼ばれる。

科学実験酒場

〒153-0063

東京都目黒区目黒本町4-3-14 コレクションハウスビル 202

■科学実験酒場 facebook:https://www.facebook.com/groups/kagakubar/

 

川口友万 プロフィール

 

サイエンスライター。富山大学理学部物理学科卒業後、パソコン誌の編集部を経て独立。以降、「サイエンスにもっと笑いを!」をモットーに、都市伝説の検証や実験などを行う。月刊ムーでの執筆をきっかけに、ここ数年はキルリアン写真の実験にハマっている。著書に『オーラ?! 不思議なキルリアン写真の世界』(写真:谷口雅彦/実験:川口友万  双葉社)、『みんなのための「スト レスチェック制度」明解ハンドブック』(双葉社)、『ホントにすごい! 日本の科学技術図鑑』(双葉社)、『あぶない科学実験』(彩図社)、『ビタミンCは人類を救う』(学研パブリッシング)など多数。テレビ・ラジオの出演や講演会も多い。学会会員。

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