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2016.06.13

和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(3)

銀座マルディ・グラシェフ、和知 徹さんによる、肉料理でめぐる世界旅行記

和知 徹の世界肉旅行 ぬりえの旅(3)

肉を巡る冒険の本格的始動

もう少し、フランスの話を続けようと思う。
南西部はワインだけではなく、知る人ぞ知る畜産の地。
何故、こんなに旨いんだろう?
どんな環境で育てられているんだ?
その理由を知りたくて、列車も走らない、秘密の村へ行く事にした。

 

山間をスラロームの様に車を飛ばす。
道すがら、野性の兎や鹿が帆走してくれる。
スピードを落とすと、夕陽に映る影が、
まるでフランス映画のワンシーンの様で、ハンドルをギュッと握り締める。
村から村へ移動していくと、放し飼いの牛や羊がのんびりと過ごしていて……。

 

無造作に放し飼いにしているようだけど、
香りの良い草と、山から湧き出る水を飲み、排泄したものは土に還っていく。
そしてそれは、葡萄畑にとって、天然の肥料になる。
山の中で、当たり前の様に行われている循環型農業が、そこにはあった。
その源流を見たときに初めて、旨さの理由が理解出来た。

 

フランスの牧歌的な風景を楽しんだ先に、お目当ての街が見えてきた。
フラフラと散策をして、目星を付けたレストランに入る。
ここでどの肉を食べればいいのか?
良い牛の生育環境は理解したけれど、味の事は分からない。
だからどの店に入っても、タルタルステーキとグリルを頼んだ。
だってさ、美女ソムリエが勧めるから(笑)
旨い肉、旨い地元のワイン、素敵な女性は、大事なんだなぁ。
またまた関係ないって?
愛を囁くフランスだからこそ、食事とアムールは切っても切れない関係なんだよ。
その土地を訪れ、人と出会い、旨い肉料理を食べ、女性と話してとことん楽しむ。
フランスの肉のディープさは、どこから来ているのか。
フランスを理解するには、先ずそこから分からないと、駄目だと思ったんだ……。

 

そして、さらに奥地へ。
人里離れたレストランで食べた、オーブラックの牛肉は、
それまで食べた事のなかった、香り高い、
噛めば噛むほど味が滲み出てくる肉だった。
自分が何を食べて来たのか?
ハンマーで叩かれたぐらいに衝撃的な肉だったから、一心不乱に平らげた。

 

なんでも匂いを嗅いで、食べてみないと分からなかった。
山は、牛や羊にとっての楽園。
肉を巡る冒険の、本格的始動だった!

マルディ・グラ

〒104-0061

東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビル B1F

  • 03-5568-0222

和知 徹

和知 徹

骨太で豪快な料理が魅力、銀座のフレンチの名店【マルディグラ】シェフ。ブルゴーニュの一ツ星「ランパール」で半年間研修後、87年「レストランひらまつ」入社。ひらまつ在籍中の96年、パリ「ヴィヴァロワ」で3カ月研修し、帰国後ひらまつ系列の飯倉「アポリネール」料理長に就任。退職後、98年銀座「グレープガンボ」の料理長を3年務める。01年、独立。和知 徹といえば、肉料理とも言われるほど。