2016.12.26
いつ行ってもおいしいものを私たちに食べさせてくれる、一流レストラン。実は働いているシェフやスタッフさんたちの美しさも一流だってこと、ご存知ですか?
今あらためてここに宣言します。やっぱり仕事しているオトコってかっこいい! そんなイケてるスタッフとおいしいお料理の2つが同時に楽しめるレストラン、集めてみました。
肉料理店のイケメンをフィーチャーするこの特集。企画段階で、射の一番に名前が挙がったのが、「炭火焼肉なかはら」の中原さん。業界イチのイケメンです。
始まりは三ノ輪にあった焼肉店、「炭火焼 七厘(以下、七厘)」。妻の実家でした。料理の世界に入るつもりはなかった彼でしたが、「かれこれ14~15年前になりますか。狂牛病で焼肉店が打撃を受けていた時代です。なんとか立て直さなくちゃいけないと、一生懸命でした」
焼肉の基本を教えてくれる人は周りにいない。やるだけやってみるか、と、店が開く前の時間は芝浦(肉の市場)に行き、そこで働く人に肉のばらし方などを教えてもらう日々が続きました。「食べることがもともと好きなので、苦ではなかったです」
中原さんは、どんな店が人気なのかを知るため、ありとあらゆる焼肉店に通ったと言います。そして、何が自分は嫌いなのか、おいしそうと思わないのかを知るところから、いろんなものが見えてきました。
まず疑問に思ったのは、「なぜ、店によってロースの味が違うんだろう」ということ。本来ロースというのはサーロインじゃなきゃいけないのに、赤身のさっぱりした部位ということで、ももをだしているお店が多いことに気づいたそう。このように、わからないことをひとつひとつ探っていくことによって、いいものが生まれていったと言います。
やがて、研究に研究を重ね、「七厘」を一躍人気店に育てあげた中原さん。おまかせで焼肉を提供するスタイルは、ここが最初。
「牛の部位を細分化して提供するというやり方は、七厘時代に確立しました。お客さまのリクエストから始まったんですよ。じゃあ今日はこんなのが入っていますが、どうですか?みたいな。お寿司屋さんのようなかんじでね」
そして、舞台は市ヶ谷の「炭火焼肉なかはら」へ。
なかはらのお任せコースは8,500円から。かなり魅力的なラインナップで楽しませてくれます。さらに、多くの肉好きを魅了しているのが「悶絶コース」(18,500円~)。焼肉はもちろんですが、ユッケ、バクダン、肉寿司、そしてしゃぶしゃぶも含まれた究極の肉コースです。
なかでもしゃぶしゃぶは、冷凍していない最上級のサーロインを手切りにしたものを使用しており、鰹と昆布でとった和の出汁も格別。
「昆布だけしか入ってないしゃぶしゃぶの湯にくぐらせて、ポン酢で食べるというのが嫌いなんですよ。ポン酢の味しかしなくて全然うまくないでしょ」
だから、出汁も食べられるしゃぶしゃぶを考案。鍋に入れるのは甘くておいしいたっぷりの軟白ねぎ。しかも、やわらかい部分のみを40~50本以上使用しているという贅沢。それに出汁を吸わせて、肉と一緒に巻き、卵と一緒に食べる。シンプルだからこそ、肉のうまみをじわ~っと感じる逸品。ああ、思いだしただけでまた食べたくなる!
「それと肉の寿司ね。なんたって元・寿司職人が握っていますから!」
えっ、そうなんですか? それはすばらしい!
ここからは、スタッフのみなさんをご紹介していきましょう。
寿司担当は縄田さん。
「はい、13年間寿司職人をやっていました。肉に興味が湧いて、親方のもとで学びたいなと思ってなかはらに入りました」
カツ担当は梶谷さん。揚げ物に対する鋭さは半端ないとか。
「まずはその日の肉を触って、状態と温度、時間はすべて自分の感覚で」
「このふたりが休む時は、寿司と揚げ物は出せないので、いらっしゃるお客さまにアナウンスしています」と、中原さん。
ふたりに絶対の信頼を置いています。
キッチンだけでなく、ホールのみなさんもプロフェッショナル。
「なかはら」では一番長く、「七厘」時代から勤める笹林さんは、ソムリエの勉強もしています。
「焼肉に合うワインをお客さまにおすすめできるようになりたくて」
チーフの曽田さんは、中原さんの大学時代の後輩。「七厘」時代はお客さまだったそう。
「先日お客さまとお話した時、まるでディズニーランドみたい!と言われたのがうれしかったですね。ただお肉を出すだけじゃなく、プラスアルファのある店にしていきたいと思っています」
入社1年目の山本さんは、
「もともとは電気工事をやっていたんですけど、人と接する仕事がしたくてこちらに入りました。
親方みたいにすべてを見られるようになりたいです。憧れっす」
肉のカットを任されている渕岡さんは、将来独立したくて、中原さんのもとに修行にきたそう。
「肉のカットはもちろん、すべてを勉強したくてきました。来年にはやっと店が持てそうです」
「なかはら」って、こんなに職人集団の集まりだったんですね!
そして、そんなスタッフから“親方”と慕われる中原さん。
「寿司やフレンチなどと違って、“焼肉屋になろう!”と思って、門戸を叩く人はいないんですよ。だから焼き肉業界にいる僕らが頑張って、若い人たちに憧れてもらえるようにならないと」
確かに、今、飲食業界は深刻な人手不足に悩まされています。仕事がキツイことが主な理由だそう。
しかしここには、オーナーである中原さんを“親方”と呼び、慕い、つねに何かを学んでいるスタッフたちの姿がありました。
また、なかはらは海外からのお客様が多いことでも有名です。
店内には、シェフズ・テーブルというべきカウンター席があり、食通の外国人が座ることも多いとか。「外国からのお客さんには最優先で座ってもらいます。なぜなら、和牛の本当のおいしさを広めたいですから」
やわらかい、舌の上でとける……など、従来表現されてきた和牛だけじゃなく、その上を味わってほしいのだといいます。アメリカで生まれ、幼少の頃をアメリカで過ごした中原さんは英語ペラペラ。「生産者はこういう飼料をあげているんですよ、こんな風に手をかけているんですよ、ということも伝えています」。
和牛親善大使じゃないですか!
「いえ、僕は職人です。ひたすらひとつのものに向きあって、最高のものを最高の状態でお出しする。それだけです」
人気焼き肉レストラン「なかはら」の魅力は味はもちろん、顔もイケメン、おまけにスピリットまでオトコマエでした。
こんなステキ空間でまた「悶絶」をいただきたい。そんな気持ちでいっぱいです。
※価格はすべて税抜きです
(取材・文:Keiko Spice)
〒102-0085
東京都千代田区六番町4-3 GEMS市ヶ谷9階
営業時間:17時00分~22時30分(L.O.)
休:水曜