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2017.01.10

今宵も、味目(みめ)麗しきレストラン Vol.3

いつ行ってもおいしいものを私たちに食べさせてくれる、一流レストラン。実は働いているシェフやスタッフさんたちの美しさも一流だってこと、ご存知ですか?

今あらためてここに宣言します。やっぱり仕事しているオトコってかっこいい! そんなイケてるスタッフとおいしいお料理の2つが同時に楽しめるレストラン、集めてみました。

今宵も、味目(みめ)麗しきレストランVol.1

今宵も、味目(みめ)麗しきレストランVol.2

今宵も、味目(みめ)麗しきレストラン Vol.3

ドンチッチョの歴史

2016年に開店10周年を迎えた「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」(以下、ドンチッチョ)は、言わずとも知れたシチリア料理の雄である。
そして、「ドンチッチョ」と言えば石川勉シェフだ。

 

話は神宮外苑前の「ドンチッチョ」の前身「トンマジーノ」の時代からはじめよう。
2階から神宮球場が見える現在に比べると小さな店だった。その頃から、料理の味もさることながら、きびきびとホールのサービスが素晴らしかった。
米津さん(現在、「アンビグラム」シェフ)と阿部さん(現在、「ロッツォシチリア」ソムリエ)の客に対するホスピタリティ溢れたサービスも、レストランの評判を大きくした要因のひとつだろう。
店は順風満帆だったが、店の構造上の問題でしばしのあいだ営業が出来なくなり、突然閉店してしまった。
客の多くは事情を知らされないままに、石川シェフと「トンマジーノ」の行方を捜した。
そして閉店から9ヶ月後、現在の場所に以前の店より数倍も大きいトラットリアが開店した。それが「ドンチッチョ」である。

 

店が閉店してから新しい店ができるまでスタッフは方方に散りながら、アルバイトで食いつないでいたという話を聞いたが、今回石川シェフに詳しく聞くと、
「閉店して最初の3~4ヶ月は給料を出していたが続かず、みんなに辛抱してもらい他所で働いてもらった」と。
そしてスタッフたちが一人も欠けずに、ドンチッチョのオープン時に再結集したと、話しながらシェフの眼は潤んでいた。

 

今年、2016年は「ドンチッチョ」の開店10周年にあたり、先日盛大なパーティが行われた。その際、歴代の卒業したスタッフが勢揃いした。最古参は、先に述べた米津さんと阿部さんの2人。
後日、この取材のために現在のスタッフにインタビューして、「最近、何かエキサイティングな事はありましたか?」と尋ねたら、食べ歩きが趣味のドルチェ担当水本さんが「10周年で、歴代のスタッフが集結したのが最高にエキサイティングした」と答えてくれた。

 

確かに過去30数名のスタッフがアニバーサリーだからと言ってこんなに集まるレストランは他にはないだろうし、こんなに団結力のあるレストランも珍しいのではないだろうか。

今夜もしみじみうまい、シチリアの定番料理

「ドンチッチョ」のシチリア料理は多岐に渡り、定番の他にその日の食材の仕入れで変わる。

 

シチリアはイタリアの食料庫とも呼ばれるほどたくさんの食材がある。それらは、アラブ人がもたらしたレモンやオレンジなどの柑橘類、ピスタチオ、アーモンド、サトウキビ、米の栽培からサフラン、カルダモン、シナモンなどのオリエンタルな香辛料。さらに、ジェラートやカッサータ、ヌガーなどのドルチェもアラブ人が伝えたのだ。

シチリア料理はまさに、文明の十字路が生んだ食文化であり、イタリア料理の一地域ではなくシチリアは独自の文化なのである。

 

さてここから、代表的なシチリアらしいパスタの定番を紹介しよう。

 

“ノルマ風パスタ”だが別名“スパゲッティ・アッラ・シチリアーナ”とも言う。
揚げたナスにトマトのパスタであるが、名前の由来はシチリアを代表する大作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニのオペラ「ノルマ」から来ているのだ。
シェフに「ドンチッチョ」の料理はどう進化しているのかと尋ねると、「料理の基本のレシピは変わらないが、10年前からの料理も、その当時には入手出来なかったシチリアの塩やオリーブ油や他の素材も含めて、よりシチリアの味になっている」と言う。

 

また、イタリア料理の定番、フリットミスト(盛り合わせ)も外せない。エビやきのこなど旬の食材をふんだんに使ったミックスフライ。熱いうちに豪快にレモンを絞って食べよう! 仕入れによって毎日内容が異なるため、注文の際スタッフに聞くといい。

 

そして、女子のみなさんは、ドルチェも忘れずチェック。

定番のティラミスもおすすめだが、やはりカンノーロ。実は「ドンチッチョ」の“カンノーリ”には隠れファンが多い。リコッタチーズのまろやかな風味と甘さは、大人の舌を満足させてくれるはすだ。

石川ファミリーになる条件とは

おっといけない。ここのコーナーの本題を忘れてはならない。そう、目にも舌にもおいしいレストランだ。

 

実は、この「ドンチッチョ」、味もさることながら、働いているスタッフたちのイケメン度も食通たちのあいだでは評判だ。
スタッフは全部で11人。上は40歳から下は21歳まで。そして全て男性。そしてみなさんイケてる。そこで、今回は長年に渡りささやかれている、あの噂をシェフに直接うかがってみた。そう。「実はルックスも採用基準の中にあるのではないか?」というものだ。

 

「あはは(笑)。よく言われるんですけど、特に決まりはないです。ただ、“笑えるかどうか”は見ますね。やっぱり笑顔がないとダメですよ。それは条件かな。また、昔は女性もいたことがあったんですが、今は男子ばかりですね(笑)」(石川シェフ)

 

なるほど。

確かにきびきびと働く姿、そしていつも笑顔で接客してくれるスタッフのみなさんは気持ちがいい。ポジティブの連鎖とでも言おうか、スタッフから放たれるオーラがイケていたのだ。
最初は、サービスもぎこちないが、段々接客にたけてきて、客からも「○○さん」と認識される様になると1人前だ。が、それも、先輩から綿々と繫がる“ドンチッチョらしいきびきびした笑顔”であることは言うまでもない。

 

ドンチッチョの採用基準&キーワードは“笑顔”だったのだ。

 

実は、「ドンチッチョ」は、求人広告を出したことがない。ではスタッフたちはどうやってここに?
毎日変わる、メニューの黒板を書きながら、ボーリングが趣味の滝沢さんが答えてくれた(ちなみにハイスコアは250! すごい)。「ここで働きたくて、電話しました」。「ドンチッチョで働きたくて!」(富岡さん) 「やはり、ここでは働いてみたかった」(久保田さん)など、全員が能動的にレストランにたどり着いている。そして中には「ドラマの『バンビーノ』に憧れてイタリアンレストランで働こうと思いました。でも、一度電話したときは、今は間に合ってるって言われて断られたんです。でも数ヶ月まって空きがでたので入れてもらいました」(岡さん) という、レストランに惚れ込んで働いているスタッフもいる。きっかけはさまざまだが、みんな『ドンチッチョ』が好きでやってくる。

 

また、厨房ではスーシェフとして最年長の金村さんがどっしりと構え、石川シェフとともに屋台骨を支えている。そしてその屋台骨を支えるのが清水さん。取材当日も忙しい仕込みの最中、いろいろ話をきかせてくれた。趣味が散歩で、休日は何時間もかけて都内を歩き回るそうだ。仕事でも立ちっぱなしなのに、休暇でも身体を動かすとは、タフすぎる!! 更に、イタリアンで欠かせないパスタを担当しているのは杉山さん。彼がドンチッチョのパスタの味の伝導師となり、受け継いでいる。最後は3年目の三上さん。彼はまかない担当。まだお客様に出すお料理は作っていないが、私達が彼の作った料理を食べられる日も近いかもしれない。楽しみに待とうと思う。

 

 

20代の若者もいつしか、結婚し家庭を持ち店も人も齢を重ねる。
集合離散は世の習いだが、レストランも同じく航海する仲間も下船してそれぞれの人生を歩みはじめる。
この10年でドンチッチョもスタッフの独立や海外での修行など色々な事情で旅たつスタッフが多くいたが、新たに乗船してくるスタッフも多い。取材時も、3日前にここに来たという、フレッシュなスタッフ(武田さん)もいた。彼もまた、このレストランに魅了され、門戸を叩いたひとりだ。

 

シチリア料理に惚れ込んだ石川シェフがシチリアに修行に行った動機は映画「ゴットファザー」だったそうだ。

「ドンチッチョ」は、ドン石川を中心にした“イケてるファミリー”が、シチリアよりもシチリアらしい「麗のレストラン」に磨きをかけていく日本のイタリアンの至宝である。

 

 

 

(取材・文:後藤 晴彦+編集部)

トラットリア シチリアーナ ドンチッチョ

〒150-0002

東京都渋谷区渋谷2丁目3−6

営業時間:18時~ 翌1時(L.O 24時)

休:日曜日・祝の月曜日

  • 03-3498-1828