• TOP
  • Special
  • 肉が恋するかき氷(後編)

2016.08.09

肉が恋するかき氷(後編)

お待たせしました~。前編では焼き肉屋がなぜデザートにかき氷を出すのか?から始まり海外組のかき氷をご紹介しました。後編では「日本のかき氷を調査した件」をご報告。うまいかき氷、ありますよ~。

 

 肉が恋するかき氷(前編)

肉が恋するかき氷(後編)

天然氷と純氷で美味しさに違いはあるのか?

店によって味が違うのはどうして? 氷、シロップ、削り方? かき氷に目がないワタクシですが、偉そうに語るにはまだまだ経験不足。ここは専門家の話を聞いてみようと巣鴨の『かき氷工房 雪菓』さんへ行ってきました。
こちらは天然氷を使い、果肉たっぷりの手作りシロップをかけたかき氷が1年中食べられ、週末は朝から行列という大人気店。かき氷が大好きで散々食べまくっているうちに自分で作ってみたいな~と思ってこの道に入ったという店主の本田祐紀さんにインタビュー。まずは氷のことから聞いてみました。「うちは富士山の天然氷です。衛生管理がしっかりされた質の良い氷なんです。たいていの天然氷は1週間で作るところをうちの氷は3週間かけています。初めて削った時の感動は忘れられません。」とのこと。なるほど、削ったときの感触も氷によって違うのか。実際に削るところを見せてもらう。え、いまどき手動? 氷の状態によって刃を調節し粗さを変えられるという理由で機械を使わないそうだ。右手でハンドルを、左手で器をくるくる回しながらリズミカルに氷を重ねていく。何度かシロップをかけながら氷の山を作っていき、手で形を整えコーティングするように表面にシロップをかけて完成。ふわっとしているのになぜか崩れにくい。密度が濃く固い天然氷だから薄く削ることができ、そういう食感になるのだそう。それにしてもなんて美味しいのだろうか。シロップと氷が同時に喉を通り溶けていく瞬間に訪れる至福の時。こりゃ、並ぶわ。

 

 

次に伺ったのは『茶寮 つぼ市製茶本舗 浅草店』。こちらは大阪 堺の老舗茶寮が手がけただけあって、「利休抹茶金時」が人気。茶鑑定士がかき氷の蜜に最適と判断した一番摘みの宇治抹茶を厳選しているので濃厚でありながら氷になじむ。こちらは純氷に電動と『雪菓』とは真逆。ただし刃物は伝統の刃鍛治が作った特注品で、時間をかけて丁寧に薄く削っているそうだ。氷の山にスプーンを入れるとほろっとして、口に入れるとすぐに溶けてなくなるので“無重力かき氷”と呼ばれている。ちょっと力を入れて動かすと崩れてしまうほど。お茶の香りもしっかりあるのでお抹茶そのものとでも言いましょうか。とにかくかなりのボリューム、運ばれて来た時はその大きさに「うわー!」と言う声があちこちであがっている。ふわふわなので、溶けてしまわないうちに食べるのがコツです。

 

 

天然氷と純氷、正直どちらも美味しいと思った。じゃ、違いってなんだろうと考えると削り方なのかも。舌触り、シロップの絡まり方、口の中での溶け具合は氷の薄さによって変わる。薄く削ればふわっとし、粗く削るとシャキシャキ感がでる。よく天然氷はキーンとしないと言うけど、時間をかけて凍らせるから不純物が排出され、溶けにくく固い氷ができあがる。固ければ薄く削れる→ふわっとする→舌に触れると溶けやすい。つまり冷たすぎるからキーンとくるのであって、舌の上ですぐに溶ければ大丈夫というわけ。だから純氷も業務用でじっくり作れば同じなのです。あとはシロップ次第ってことですね。

 

 

※写真左から:「かき氷工房 雪菓」のフレッシュピーチ「茶寮 つぼ市製茶本舗 浅草店」の利休抹茶金時

どこまで進化するのか? オリジナルのシロップ

さて、かき氷の定義っていうのがあるのかわからなくなってきた私です。最近は『セバスチャン』のような「これ、ケーキじゃん」って見た目のものや、『シロッポ』の「カルボナーラ」や『yelo』の「有機にんじんマスカルポーネ」のような、もはや料理の名前になってしまったかき氷もある。『麻布野菜菓子』にいたっては「ミニトマト」、「セロリ」、「ほおずき」なんて野菜のメニューだし。しかし、どれをも不思議と美味しくしてしまうのがかき氷の素晴らしいところ。それぞれの店が試作に試作を重ねて厳選した自慢のシロップ。この夏は日本全国津々浦々、好みのシロップを探して行脚してみては? 機会があれば今度はシロップについてご報告してみたいと思います。

 

 

※写真:「麻布野菜菓子」のほうれん草と抹茶のかき氷

ほうれん草パウダーと宇治抹茶をあわせたソースに、トマト、黒ごま、かぼちゃ、ほうれん草の白玉が添えてある。

 

取材協力:
「かき氷工房 雪菓」
住所:東京都豊島区巣鴨3-37-6
TEL:03-5980-9891

(8月末まで)

営業時間: 平日11:00-18:00、土日10:00-17:00

(9月から)

営業時間:11:00~17:00
休:月曜
URL:http://www.atelier-sekka.com/

 

「茶寮 つぼ市製茶本舗 浅草店」
住所:東京都台東区浅草2-6-7 まるごとにっぽん 2F
TEL:03-3841-0155
営業時間:10:00~20:00(喫茶はL.O.19:30)
休:無休
URL:http://www.tsuboichi.co.jp/

 

 

(取材・文:高橋 綾子)